勉強会が教えてくれること●中澤 甘菜

2015/05/08

中澤 甘菜


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ニュージーランドでの高校生活、アメリカでの大学生活、そしてイギリスでのワーホリ生活を経て2007年に翻訳の仕事に就く。北海道出身。夫の転職で愛知県に引っ越してきて9年。2013年に、1度社内翻訳の仕事を辞し、オーストラリアで1ヶ月間ヨガ通訳をおこなう。現在はまた電機メーカーの社内翻訳者として勤務。
 


日英翻訳者の中澤甘菜です。翻訳とヨガに明け暮れる毎日ですが、今回は、名古屋翻訳者勉強会の様子をお伝えします。
 
名古屋翻訳者勉強会は2014年1月に発足しました。きっかけは、2013年10月に名古屋で開催されたIJET-25(JAT主催の第25回 英日・日英翻訳国際会議 東京大会)のプレイベントです。プレイベントには、本コラムオーナーの高橋聡さんが登壇され、40席のチケットが早々に売り切れとなる大盛況でした。そこで知り合った翻訳者の皆さんに声をかけて始めたのが名古屋翻訳者勉強会です。
 
これまでの勉強会は、地元や他都市からのスピーカー2、3名によるセッションと、皆で取り組むワークショップなどで構成しています。平均的に20名以上の参加者があり、社内翻訳者とフリーランスの比率は約半々といったところです。参加者の翻訳分野が様々なため、いままでのセッションはツールに関するものが一番多く、セルフマーケティングに関するセッションや、ほんやく検定対策講座、また半ページほどの文学文書をグループに分かれて訳してみるというセッションもおこないました。スピーカーとして登壇された皆さんのセッションはどれも学ぶことが多く、集まって一緒に勉強するという勉強会の目的を十二分に満たしてくださっています。
 
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勉強会の後は、近くのレストランで懇親会を開いています。前回の勉強会は午前中だったため、名古屋コーチンのお店でランチ会を行いました。この他にも、イタリアンや火鍋を食べにいったりと、懇親会だけのイベントも度々開催しています。
 
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勉強会の運営については、名古屋近郊の翻訳者の皆さんに色々手伝っていただいています。思い起こすと、第1回の勉強会では、領収書を一枚一枚手書きしていたために受付に時間がかかり、セッション中も領収書を書き続けていました。ですが、2回目以降は、その反省を生かして清水智香さんが名前や金額などを入れた台紙を事前に準備してくださり、とてもスムーズに受付を行うことができました。自分ではまったく考えがおよんでいなかったポイントだったので、とても助かりました。また、懇親会の会場はほぼ毎回、名古屋生まれ名古屋育ちの上池直美さんがおいしいお店を厳選してくださっています。前回の勉強会では、出席者の名簿管理も他の方に手伝っていただき、皆さんの手厚いサポートのもとに勉強会の運営ができています。
 
これまで何度か勉強会を主催してきて感じることは、勉強会という場所には、本当に翻訳が好きな人が集まるということです。翻訳の経験に差はありますが、向上心がある方々が集まるため、どんな翻訳支援ツールを使っているのか、どうやったら効率的に翻訳をできるのか、といった話題が休憩時間にはつきません。少し話がずれますが、自分は普段、社内で翻訳をしています。この環境においては、翻訳に関する周りの理解が低かったり、翻訳品質に関する考えが違ったりと、モチベーションが下がってしまうこともよくあります。ですが、名古屋翻訳者勉強会には本当にポジティブな方が多く、会に参加することで元気をもらっています。また、勉強会で英語や翻訳についての話をしていると、「やっぱり翻訳が好きだな」ということを思い出すことができるのです。
 
名古屋翻訳者勉強会には毎回、大阪や神奈川県などの遠方からはるばる来てくださる参加者がいます。勉強会は半日程度で終わるので、残りの時間は名古屋メシを満喫したり、名古屋観光をしたり、名古屋在住の旧友と会ったりと、それぞれ名古屋滞在を楽しんでいるようです。実は自分も先日、静岡の勉強会に参加させていただいたのですが、勉強会の前に、現地の翻訳者の皆さんにランチへ連れていってもらい、勉強会目的の小旅行の楽しさを実感しました。今後も、県外から名古屋翻訳者勉強会へ、また名古屋から他の地方の勉強会へと交流がつながっていけば楽しそうです。
 
勉強会のような有志の会は、金銭的なメリットがどこにも発生するわけではないので、難しさを感じることもあります。ですが、街にひとつはこんな会(翻訳者のたまり場)が必要ではないでしょうか。何より名古屋翻訳者勉強会は自分にとって大切な場所となりつつあるので、今後もゆったりペースで続けていきたいと思っています。そして、この名古屋翻訳者勉強会がインプットだけではなく、翻訳者のアウトプットの場として少しずつ定着していけば嬉しいです。
 
自分の場合、会社以外の翻訳者との交流は、2013年初めに大阪や東京の翻訳者の集まりに参加し始めて広がっていきました。普段はFacebookで交流することが多い翻訳者の仲間たちですが、この数年間、アドバイスをいただいたり、元気づけていただいたり、グチを聞いてもらったりと大変お世話になっています。いまではかけがえのない存在となった翻訳者ネットワーク。そんな翻訳者の輪が、ここ名古屋から名古屋翻訳者勉強会を通じて、さらに広がっていくことを期待しています。
 
名古屋翻訳者勉強会:ngobenkyokai@gmail.com
http://ngobenkyokai.wix.com/home
 

 

コラムオーナー

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高橋 聡
(たかはし あきら)

 
CG 以前の特撮と帽子をこよなく愛する実務翻訳者。翻訳学校講師。学習塾講師と雑多翻訳の二足のわらじ生活を約10年、ローカライズ系翻訳会社の社内翻訳者生 活を約 8年経たのち、2007年にフリーランスに。現在はIT・テクニカル文書全般の翻訳を手がけつつ、翻訳学校や各種SNSの翻訳者コミュニティに出没。

■ブログ「禿頭帽子屋の独語妄言」
http://baldhatter.txt-nifty.com/trados/


 

MISSION STATEMENT

「意外と知られていないフリーランス翻訳者の素顔をさぐる」ために始まったこのシリーズ。そもそもは、私自身がいろいろな翻訳者さんの様子を伺ってみたいと思ったことがきっかけでした。思ったとおり、今に至るまでの人生も、生活スタイルも仕事のしかたも千差万別です。これからも、登場していただきたい方はたくさんいますが、執筆してみたい方がいらっしゃれば、ぜひ帽子屋までご連絡ください!