6-4 新米の上り坂、中堅の曲がり角

2015/01/16

パネリスト:

井口富美子 Iguchi Fumiko

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独日英日実務翻訳者。立教大学文学部日本文学科卒業後、図書館勤務を経てフンボルト大学に留学。帰国後は翻訳会社に10年勤務し、2005年よりフリーランス。専門分野は自動車・機械・医療機器・歯学など。JAT会員。

松浦悦子 Matsuura Etsuko

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フリー翻訳者。大卒後、精密機器メーカーで技術翻訳、テクニカルライター、外資系システム開発会社でローカライザーとして勤務の後、配偶者米国転勤帯同を経て現職。

庄野彰 Shono Akira

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フリー翻訳者。サラリーマン技術者として核燃料サイクルの開発に約25年従事後、40代後半に独立して10年目。原子力を中心とする技術系資料の英日/日英翻訳、英文校閲に従事。

モデレーター:

高橋聡 Takahashi Akira

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英日産業翻訳者。学習塾講師と翻訳業の兼業時代から、ローカリゼーション系翻訳会社勤務の時代を経て2007年にフリーランスとして独立。ITを中心にテクニカル翻訳全般を手がける。

 

報告者:岸本寛大
 



2013年度翻訳白書の調査データを基にした井口耕二氏の分析から、個人翻訳者は処理量よりも単価の引き上げを考えるべきという結論が打ち出された。この洞察は個人翻訳者がこれから考えるべき重要な指針となるだろう。このセッションではその道を進むためのヒントを、Facebook上のメンバーがディスカッション形式で探った。

駆け出しと中堅の定義

案件の受け方

駆け出しが何でも仕事を受けるのに対して、中堅翻訳者は断る案件が出る程度に安定して仕事を受けている。

トライアルの勝率

トライアルに落ちた理由がわからないうちは駆け出し。ほとんどのトライアルに受かり、また押さえるぺきポイントも見えるようになったら中堅と言えるだろう。

駆け出しから中堅になるために

駆け出しのうちにこころがけること

・プラスαを付け加えての納品
自身の考え、たとえばある単語を選択した時の理由等を注釈に付けて納品すること。これによって努力の跡を示すことができ、結果としてチーム作業にも役立つ。

・SNSで横のつながりを広げる
近年のネットワークの発達により、翻訳者同士の情報の流れが極めて透明で自由になった。SNSを通しての情報交換やアドバイスは非常に良い刺激となり、自己の研鑽にもつながるだろう。

こういう翻訳会社を選ぼう

・コーディネーターが良い会社を探す
コーディネーターの善し悪しで仕事の効率は変わる。担当者との意思疎通がスムーズにいく会社とは仕事もやりやすく、良好な関係が発展する。

中堅のその先へいくために

交渉:複数のエージェント相手

・ スケジュールを整える
自身のスケジュールをエージェントの優先度順に早めに伝え、仕事しやすい状況を作る。

・    特徴を伝える
自分がどういう翻訳者であるかをエージェントに伝える。具体的には速度・量・得意な分野等。常に情報を伝え自身の特徴を相手に浸透させることが重要。

・    レート交渉
受注安定後、段々と習慣化させていく。自分の希望と状況に応じて柔軟に対応すること。

交渉:ソースクライアント相手

・    クライアント探し
知人や同業者からの紹介、つてによってパイプを作っていく。紹介は黙っていて来るものではなく、様々な人との交流が直接的・間接的に仕事につながる。現在はSNSの場があるがこれはあくまで補助であり、やはり実際に現場に出て顔をつなぐことが人脈の形成に不可欠である。

・    高品質高レートモード
自分の得意な分野で高品質高レートを目指す。

・    契約事務
ソースクライアントは高いレートを実現できる反面、契約事務の段取りに非常に手間がかかる。これは経験によって効率化していく。

単価交渉のタイミング

・    普段と違う案件の時
・    紹介で来る案件の時
・    ソースクライアントからの案件の時

受注が安定し仕事を選べる段階にきたら、その機会に積極的に交渉を行うことが単価アップへとつながるだろう。