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1-3 翻訳チェックする際の明快な指針を検討する―あったらいいな―翻訳チェックのガイドライン

2015/01/16

パネリスト:

斎藤 玲子    Saito Reiko

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(日本オラクル株式会社 WPTG - Japan, Senior Language Specialist)
日英・英日翻訳、開発者向け製品およびOSのローカリゼーションプロジェクトマネージャーなどを経験し、日本オラクル株式会社で主にサン製品の翻訳品質管理責任者を務める。

河合 正廣    Kawai Masahiro

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(YAMAGATA INTECH株式会社 翻訳ビジネス部 チーフスペシャリスト)
2002年、YAMAGATA INTECH 株式会社に入社。各種マニュアルの多言語版制作に携わる。現在は翻訳支援ツールを使った各種の日英・英日翻訳のQAに取り組む。

田中 千鶴香    Tanaka Chizuka

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(技術翻訳者、JTF理事・標準スタイルガイド検討委員長)
自動車会社勤務などの後、フリーランス翻訳者になる。共著『プロが教える技術翻訳のスキル』(講談社刊)

モデレーター:

中村 哲三    Nakamura Tetsuzo

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(株式会社エレクトロスイスジャパン、一般財団法人TC協会 理事、TC World TCTrainNet認定トレーナー、TAUS日本代表)
英文テクニカルライティングを中心に認知言語学、ローカリゼーションなどをカバー。関連セミナーなどを企画。著書『英文テクニカルライティング70 の鉄則』(日経BP社刊)

報告者:後藤亜季(IP-Pro株式会社)

 


モデレーターより

ローカリゼーション分野の翻訳者、翻訳会社、クライアントの各視点で、翻訳チェックの問題点のうち恣意性に注目して検討する。
 

翻訳者の視点

発注元から翻訳フィードバックとして返される修正箇所を種類(category)と重大度(severity)に応じて分類すると、誤訳などのミスは全体の10~15%以下であることが多い。残りは、発注元しか知らない情報に基づく修正や恣意的(preferential)修正である。現状では重要度の高いエラーが重要度の低いエラーに埋もれてしまう可能性がある。翻訳フィードバックが、変更履歴機能による修正ファイルという形ではなく、修正理由やエラーの重大度を明確に伝える指示やコメントを含み、お客様が求める品質とプロジェクト方針が具体的に伝わる形で提供されれば、翻訳の品質向上につながると思われる。

翻訳会社の視点

Tradosで定訳語・不訳語にプロテクトをかけ翻訳箇所、チェック対象(項目)を限定し、チェック量の削減を図っている。QAとしてQA Distillerによるフォーマット/数字・用語の一貫した機械的なチェックと、Y-ProofによるOnlineバイリンガルプルーフを行う。プルーフでは、文脈確認用にリファレンスファイルをアップするなど環境を提供し、修正理由の履歴を残す。ネイティブの語学的チェック(海外)の後、メーカーガイドラインに沿ったチェック(国内)を行う。恣意性の対処として、ガイドラインの他、プルーフチェックの際、修正理由を明確化している。

クライアントの視点

業務フローは、準備(翻訳会社への情報提供:注意事項、スタイルガイド、用語集、翻訳メモリ+製品情報)、質問への回答(英語の意味、問題の報告)、レビュー、完了(製品テスト、翻訳の修正)の4ステップを経る。

準備と質問への回答を最重視し、レビューは品質の安定度に応じて、選択的に行う。
フィードバックは用語(terminology)、日本語の問題(language)、正確性(accuracy)、英語の問題(translatability)などのカテゴリーに分け客観化・数値化している。
恣意性は見方によって変わる。発注・受注側がフィードバックやチェックの形式・対象・度合を互いに同意する必要がある。

有効なフィードバックのために:コミュニケーション

最初が重要、事前に発注元に訊ねる、先に必須条件を伝える(翻訳メモリの使用による制限など)、質問口調を取り入れる、顔を見て話す。
 

モデレーターまとめ

恣意的チェックがなくなれば、翻訳者、翻訳会社、クライアント全員がハッピーになれる。3者共に業務を効率化し、品質(Quality)、費用(Cost)、スピード(Delivery)を向上させることができる。業界全体で翻訳チェックのガイドラインを設けることが必要である。