1-2 世界における翻訳業界の現在と未来

2015/01/16

パネリスト:

胡 艶玲 Hu Yanling

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華為技術日本株式会社(ファーウェイ・ジャパン) 社長室 日本語翻訳センター マネージャー

佐藤 美帆 Sato Miho

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SAPジャパン株式会社 SAP ランゲージサービス(SLS)ジャパン ビジネスパートナーマネジメント リソースデベロッパー

伊藤 彰彦 Ito Akihiko

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株式会社十印 海外事業本部長

モデレーター:

渡邊 麻呂 Watanabe Maro

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株式会社十印 代表取締役社長、JTF理事

報告者:辻 仁子(個人翻訳者)

 



本セッションでは海外クライアントの最新の動向や着眼点が紹介され、翻訳会社が世界に商機を求めるヒントが提供された。(この報告書はダイジェスト版です。)

情報収集方法

佐藤氏: ドイツ本社のメンバーを中心に業界フォーラムに積極的に参加し、情報収集のみならず発信も行っている。
胡氏: 華為本社(中国)には300人以上の中⇔英社内翻訳者がいる。サブチームである「業務支援部」が常に業界団体や業界動向に注目し、月に1度収集した情報を社内で共有。
伊藤氏: 米国企業はフォーラムで人脈作り。ウェビナーや業界誌は手軽な手段。イベントで出会った人とすぐにLinkedInでつながり、ネットワークを広げている。

過去10年間の変化

胡氏: 華為の日本市場開拓の時期と重なる。前半5~6年は入札や技術関連の書類が中心で、その後マーケティングやプレゼンテーション、社内研修の書類が増えた。現在はウェブ資料や動画の字幕が増加。
伊藤氏: スマートフォンが普及し、ユーザーは情報の質よりも情報入手のスピードを重視するようになった。ダウンロード型のソフトウェアに代わりクラウドが浸透した。
佐藤氏: クラウドベースのアプリケーションの増加に伴い、翻訳の品質要件や市場提供までのスピードも大きく変化した。組織面ではグローバル組織の一員としてドイツや他の国のメンバーと密に連携する体制が確立された。

テクノロジーの導入

伊藤氏: 知る企業と知らない企業の二極化が進んでいる。導入に積極的な企業は効率重視。経営視点で導入メリットを説明しなければならない。
佐藤氏: 積極的にしている。機械翻訳(MT)は一部言語では既に数年前から利用しているが、対象言語の拡大を含む本格的な導入に向けた取り組みを開始した。
胡氏: 一部言語でMTエンジンを自社開発した。

翻訳会社の選定基準

胡氏: 変動する。例えば品質5割・スピード3割・コスト2割。
佐藤氏: 最も重要なのはコミュニケーション能力。柔軟なプロジェクトマネジメント能力と主体的に問題解決に取り組む姿勢も大切。
伊藤氏: 米国のクライアントは「ベンダーが翻訳のプロ」という前提で、品質、コスト、スピードに加え、クライアントに有益な情報を提供できるかどうかを重視する傾向にある。

現在、将来の注目トピック

佐藤氏: プロセスの連携、効率化、自動化への取り組みは今後ますます進んでいくが、人の関与が必要なものは常に存在する。翻訳者や翻訳会社にとってはこの部分に商機があるのではないか。
胡氏: ウェブコンテンツなどマルチメディアが課題。リライトのスキルを身につけた優秀な翻訳者が求められるため、社内翻訳者が再び増えるのではないか。
伊藤氏: 経営者が使う言葉(つまり数値)を基にビジネスにおけるローカリゼーションの存在意義をアピールする力。この点が翻訳会社の商機ともいえる。