「第4回翻訳業界調査結果」のご報告

2014/05/09

「第4回翻訳業界調査結果」のご報告

 

JTF理事・翻訳業界調査委員長
川村 みどり
 

 

翻訳業界は、我が国の経済・産業、科学技術、文化などのあらゆる分野にとって、不可欠の産業として定着してきました。日本翻訳連盟は、翻訳産業の実態を解明し、翻訳業界の存在意義を内外に示し、翻訳業界の地位向上を図ることを目的として、翻訳業界の実態調査を行っています。
当連盟は2013年9月下旬から12月初旬にかけて、5年ぶり4回目の2013年度翻訳業界実態調査アンケートを実施しました。2004年より業界の現状を数量的に把握するためにこの業界調査を実施しています。今回の調査は、従来どおり法人の調査を行うと同時に、当連盟としては初の個人翻訳者の実態調査も実施しました。以下、その結果を要約します。
 
■ 回答率
今回の調査対象企業数は771社、有効回収率は25%、個人翻訳者の有効回収数は429人です。法人に関しては、前回の調査の回収率を上回りますが、JTF法人会員のアンケート回収率は54%、JTF個人会員の回収率は33%で、JTF会員の回収率を上げることが今後の課題の一つとして認識しています。
 
■ 調査項目
(1) 翻訳企業調査
翻訳企業の概要、景況感、受注単価、従業員と登録翻訳者、取扱分野と取扱言語、翻訳支援ツール
(2) 個人翻訳者調査
個人翻訳者のプロフィール、収入、景況感、仕事の形態、取扱分野と取扱言語、翻訳料金、翻訳作業の状況
 
〈翻訳企業調査〉
■ 総売上高
 2012年度の総売上高で「1億~3億円未満」が最も多く28.4%、ついで「1000万~3000万円未満」が16.3%、「5000万~1億円未満」が12.6%、「20億円以上」が10.5%の順になっています。20年度調査と比べると、「1億~3億円未満」と「1000万~3000万円未満」が増え、「3億~5億円未満」が減っています。
 
■ 景況感
2012年度の翻訳売上高は、2011年度に比べると約4割の企業が5%以上増えたとなっており、翻訳売上高が増えた企業が減った企業を上まわっています。
 過去1年間での翻訳の受注単価の変動をたずねると、「5%以上上がった」が4.2%、「どちらともいえない」が69.5%、「5%以上下がった」が26.3%で、およそ7割の企業は大きな変動なしと答えていますが、4分の1の企業は「下がった」と答え、受注単価は横ばいから一部は下落傾向とみられます。
1年後の翻訳受注額の見通しをたずねると、「5%以上増えると思う」が49.5%、「変わらないと思う」が31.1%、「5%以上減ると思う」が19.5%で、受注増を予想する企業が半分近くなっています。
 
■ 受注単価
 英日翻訳・日英翻訳とも、料金計算基準は原文基準が60%以上となっています。
 英日翻訳の料金計算基準を「原文基準(英語のワード数)」と答えた企業に、原文(英語)1
ワードに換算した平均的な価格帯をたずねると、「19円未満」までが40.9%、「23円未満」
までに80%が含まれ、「23円以上」が20%となっています。20年度調査と比べると、「19
円未満」は21.6%→40.9%と増加し、「23円以上」が47.4%→20%と減少しています。
 
■ 従業員と登録翻訳者
翻訳事業専従の従業員について業務別の人数内訳(兼務の場合は按分)をたずねると、「翻
訳者・チェッカー」が36.6%、「コーディネーター/PM」が35.1%で、2つの業務をあわせて71.7%、「営業」12.9%、「管理部門(経理・総務・人事)」8.7%、「その他スタッフ」が6.7%という比率になっています。
 翻訳企業が翻訳者に求めるものは、最も重要なものとして「語学力と表現力」、ついで「正
確さ」、「専門知識」の順となっています。
 
■ 取扱分野と取扱言語
 主要な取扱分野は、「科学・工業技術文書」、「ビジネス文書(契約書・金融・経済含む)」、
「コンピュータ(ソフトウェア・ハードウェア・ローカリゼーション)」が3大分野で、取扱
言語は、英語が71.1%、ついで中国語が11%です。
 
〈個人翻訳者調査〉
■ 収入
 2012年度の総収入は、「300万円未満」が34.2%、「400万円未満」が50.4%、「500万円未満」が64.6%、「600万円未満」に76.5%が含まれ、「600万円以上」が23.4%となっています。300万円台から400万円台が中位クラスとなります。
 
■ 景況感
 2012年度の翻訳収入は、対前年度で「5%以上増えた」翻訳者が36.5%、大きな変動なしが40.9%、「5%以上減った」22.6%で、翻訳収入の増えた翻訳者が減った翻訳者を上まわっています。
 
■ 仕事の形態(受注方法・翻訳会社数)
 受注方法は、「翻訳会社から受注」が86.7%、「ソースクライアントから直接受注」が38.2%、
「派遣/アルバイト/社員として翻訳に従事」が10%となっています。
 コンスタントに受注している翻訳会社数は、「1社」41.2%、「2社」25.4%、「3社」19.7%
で、3社以下が86.3%を占めます。ソースクライアントとの直接取引の割合は、直接取引なしが50.7%、「1~20%未満」が25.1%、「80%以上」が直接取引という翻訳者が9.8%です。
 
■ 取扱分野
 主要な取扱分野は、「医薬・バイオ」、「ビジネス文書(契約書・金融・経済含む)」、「コン
ピュータ(ソフトウェア・ハードウェア・ローカリゼーション)」「科学・工業技術文書」、「特
許」の順で、取扱言語は、英語が93%、ついで中国語が2.2%です。
 
この報告書が、法人の皆さまの企業経営に役立ち、個人翻訳者の皆さまの業務の参考となれば幸いです。また、このアンケートを通じて、翻訳業界全体に関心をもち、業界の地位向上のためにご協力いただければ幸いに存じます。日本翻訳連盟は、今後とも業界発展のために尽力する所存ですので、一層のご協力をお願い申し上げます。
 
 今回の掲載内容は、2014年3月に発行した『2013年度翻訳白書 -第4回翻訳業界調査報告書-』の一部です。印刷した『2013年度翻訳白書』は、JTF会員には無料配布され、非会員の希望者の方には有料でご提供いたします。ご希望の方はお早目に事務局までお問い合わせください。

 

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