何かを変えてくれるSNS●Terry Saito / 齊藤貴昭

2013/03/08

本年度の「翻訳横丁の表通り」は、以下の2点をテーマに進めて参りました。


1.「Twitter/SNS 等のネットワークと翻訳者」
2.「翻訳者と翻訳会社の関係」

本号は年度最後という事で、私自身が1.「Twitter/SNS等のネットワークと翻訳者」について、書いてみたいと思います。
 
改めて、SNSとは何でしょうか?
 
SNS とは、ソーシャルメディア・ネットワーク・サービスの事で、TwitterやFacebook, mixi, GREEなどがあります。SNSの主目的は、人と人とのコミュニケーション。企業内でも社内コミュニケーション活性化を目的にSNS活用が進んでいますが、情報の地域間格差を無くすという目的での活用もあるようです。
 
SNSを活用したネットワーク上の通訳者・翻訳者のコミュニティを見ていると、地域を越えた「同業者の繋がり」や「情報共有」にSNSが大きく役立っており、それをベースとした新しい動きが生まれて来ているように感じます。
 
私はどちらかと言うと、SNSを積極的に利用している人間です。一方では、個人情報の取扱いに関する不安や、自分自身を曝け出す事の抵抗感から、SNSの使用を躊躇している方がいる事も知っています。「SNSはツールです。」利点もあれば欠点もあります。利益もあればリスクもあります。ただ、SNSを利用する事により得られるメリットの大きさを感じている私としては、SNS使用に抵抗感のある方々に、今一度、SNSの特性を良く理解した上で、「使う・使わない」の判断をして頂きたいと思うのです。
 
私が利用しているネットワークツールは、Twitter, Facebook, Blogです。これらはそれぞれ違った特性を持っていますので、私なりの使い分けをしています。ここでは、Twitter と Facebook についてお話ししたいと思います。
 
Twitter:
Twitterは、「不特定多数」がキーワードです。不特定多数からの書き込みを読む事ができ、また、不特定多数へ情報発信出来ます。このキーワードから、自分はTwitterをどう使うのか?を考える事で、使い方と使用上の注意点を意識する事ができます。
 
注意すべき事、それは自分の発言が不特定多数に読まれると言う事です。従って、発言内容には注意が必要となります。例えば、自分の個人情報を書き込まないとか、ジオタグという位置情報を発信しないなど、個人と個人の行動を特定できるような情報を発信しない事です。アイコンや名前も適当なものでいいでしょう。 (上級者になると、意識的にそれらの個人情報を流す場合もありますが、Twitterの性格を理解するまでは避けた方がいいでしょう。)
 
Twitter の使い方は色々あるでしょう。ネットワーク上で知り合った人々と緩いコミュニケーションをするという使い方もあるでしょう。私は Twitter を本気で使い始めて3~4年になりますが、使い方と目的はその時々で変わって来ました。現在の私のTwitterの使用目的は、以下の3点です。
 
  • 通訳・翻訳関係者とのコミュニケーション
  • 色々なキーワードでの情報収集
  • セルフブランディング
 
主目的は通訳・翻訳関係者とのコミュニケーションツールです。日々の取り留めない会話から、仕事に関する情報交換、オフ会やイベントの調整などに使っています。Twitter での緩い会話の中から、自分自身の日々の生活への刺激や、仕事をする上でのヒントを頂いたりしています。何よりも、通訳・翻訳を仕事とする仲間がすぐそこにいるという安心感が、私は好きです。ちょっと聞きたい質問への即応性も素晴らしいです。
 
2つ目の目的は、色々なキーワードで情報検索 するツールとしての活用です。Twitter を始めた頃は、これが主目的でした。例えば「翻訳」というキーワードで情報検索すると、翻訳に関する多種多様な情報が入手できます。勿論、Twitter を流れる情報は色々な特性を持っており、正しい情報もあれば間違った情報もありますので、それを見極める眼も必要ですが、目に触れる情報の量と種類は他のメディアよりも遥かに多いと感じています。また、「今」話題にされている情報を見られるのも特長です。
 

 
3つ目はセルフブランディングのツールです。Twitterのみならず、SNS全般に言える事です。フリーランス翻訳者さんにとって、意味を持つ使い方だと思います。自分の発信する情報は不特定多数に見られる分けですが、その中には同業者の方々も含まれています。先にご寄稿頂いた方々が書かれている通り、 SNSがキッカケとなって仕事に結びつく可能性を持っています。勿論、SNSだけでそういう成果が生まれた訳ではなく、オフラインでのリアルなお付き合いなど、色々と複合的な活動の成果ではありますが、SNS利用が何か変化をもたらしてくれるのは確かです。事実、私のような者でさえも、大きな変化が生まれました。一昨年から色々な翻訳イベントに声を掛けて頂き、日本翻訳連盟(JTF)主催の翻訳祭で講演させて頂いたり、日本翻訳者協会(JAT)主催の日英・英日翻訳国際会議(IJET)でパネリストを務めさせて頂いたりと、SNSを積極的に使用する前後を比較すると、自分自身の生活に大きな変化が生まれました。(日本翻訳ジャーナルの編集委員も、またその1つの変化です。)
 
Facebook:
日本国内のFacebook利用者が徐々に増えているようですが、翻訳関係者の間でも、この一年でかなり浸透して来ているように感じます。Facebook のキーワードは「特定の相手」だと思います。その設定方法によって、特定の相手とだけのコミュニケーションツールとして使用できます。
 
Facebook は実名主義ですので、実際にお付き合いのある方との交流に使用するのが、正しいと思います。そういう理由から、私の書き込みの公開範囲は「友達まで」としています。
 
時々、 Facebook に、親戚や学生時代の友達、昔の会社の同僚、翻訳者の知人などをフレンド登録してしまうと、例えば親戚には読まれたくない記事が書けなくなってしまう…という話しを聞きます。意外と知られていないようですが、Facebook は「リスト」を作って発信先や閲覧対象者を制限する事ができます。
 

Facebookのリスト機能
 
私の場合ですと「親戚」「会社」「Alumni(同窓)」「通翻(通訳・翻訳)」というリストを作っており、通訳者・翻訳者の知人だけに公開したい書き込みは、「通翻」を選択して発信しています。(そのリストの方達しか、その書き込みは見えません)
 
Facebook では、自分の実名、写真、プロフィールを書き込んでいますので、フレンド登録する方は実際にお会いした方のみにしています。私にとって Facebook は旧友や親戚とコミュニケーションを取る目的とは別に、通訳・翻訳関係者の方々との一歩踏み込んだコミュニケーションの為に使用しています。オフ会、セミナー情報、イベント情報なども Twitter に比較して頻繁にやりとりされている事も、Facebookを使用している理由です。
 
私の大まかなSNSの使い方の流れは、Twitter で繋がり、オフ会やイベントで実際にお会いし、Facebookでフレンド登録して、より踏み込んだコミュニケーションをする。こういう流れが定着しています。
 
ここで1つ紹介したいのは、Facebook 等のSNSを使って、複数の翻訳者や通訳者が集まり、グループを作って勉強会等の活動している方達が増えてきている事です。これはSNSの普及による新たな動きだと思います。
 

翻訳勉強会「十人十色」の勉強会風景
 
私は、翻訳勉強会「十人十色」と言うグループに参加させて頂いています。このグループは、色々な分野の翻訳者さん達で構成されており、メンバー全員で翻訳に関する勉強会をしています。分野が違うと翻訳へのアプローチも違い、また使っているツールや辞書等も違う。また、それぞれがそれぞれのやり方を構築して、 翻訳という仕事を行っている訳ですが、その方法をお互いに紹介し合い学び合う事で、相互の仕事の改善やレベルアップに繋げようとしています。勉強会の内容が他の翻訳者さん達にも役に立つ内容であれば、セミナー形式の勉強会を開催し、メンバー以外の方達にも参加して頂いています。更には、それらのセミナーを YouTubeやUstreamによるライブ配信(オンラインセミナー)を行ったり、録画アーカイブに保存して公開したり、インターネット環境を持つ翻訳者さん達へ向けて、情報提供をしています。
 
翻訳勉強会「十人十色」: http://www.facebook.com/groups/339270169513730/
Twitter アカウント: @junintoiro1
 
このように、翻訳に関する活動の情報やイベント情報を入手できたり、参加する機会を得られたりする事も、SNS利用の大きな利点です。
 
最後に、これだけは忘れないで欲しいSNS使用上の注意事項があります。
それは、「SNS依存症にならない事」です。SNSを使い慣れてくると、SNSでのコミュニケーションが気になり、秩序なく閲覧するなど、SNSの滞在時間が長くなります。そうすると、仕事の時間へ影響したり、家族との時間へ影響したりして、自分の生活自体へ悪影響を及ぼす事になってしまいます。ですので、 SNSの使用時間を決めるとか、SNSへアクセスするデバイスを限定するなど、自分の意志でコントロールした使用をする事が大切だと思います。
 
道具というものは、理性を持って自己管理し使用するという意識が大切だと思います。正しい理解と、正しい使い方をすれば、自分の人生や生活をとても豊かにしてくれる道具だと私は思います。
 
無闇に恐れずに、少しだけ勉強してSNSを使ってみませんか?
 
 
Twitter : @terrysaito
Facebook: http://www.facebook.com/terrysaito

コラムオーナー

齊藤 貴昭
(Terry Saito)

 
電子機器メーカーにて開発/製造から市場までの品質管理に長年従事。5年間の米国赴任から帰国後、社内通訳・翻訳者を6年間経験。2007年から翻訳コーディネータ兼翻訳者として従事。「翻訳者SNSコーディネータ」として業界活動に精を出す。ポタリングが趣味。甘いもの好き。TwitterやBlog「翻訳横丁の裏路地」にて翻訳に関する情報発信をしています。

■Twitter: terrysaito
■Blog: http://terrysaito.com




 

MISSION STATEMENT

「翻訳横丁の表通り」には色々な人々が往来するようになりました。このコーナーでは、翻訳者さん達に「翻訳横丁の表通り」に出店して頂き、自身が持つ翻訳への「こだわり」を記事にして頂きます。「想い」であったり「ツール」であったり、「翻訳方法」であったり「将来の夢」であったり、何が飛び出るかは執筆者の翻訳への「こだわり」次第。ちょっと立ち寄って、覗いていきませんか?