イベント報告

2019/05/10


AAMTセミナー参加報告 セッション2

MT×ポストエディット -最前線
 



AAMTセミナー参加報告
開催日●2019年2月12日(火)
開催場所●主婦会館プラザエフ
セッション2●『MT×ポストエディット -最前線-』
講演1●『インバウンドシーンで実用化された機械翻訳+ポストエディットサービス事例:ジャパリンガル』
野阪 知新氏(凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部 ソーシャルイノベーションセンター 情報インフラ本部 地方創生・観光事業推進部 係長)
府内 翼氏(東日本電信電話株式会社 ビジネス開発本部 第三部門 IoTサービス推進担当)
講演2●『ジャパリンガルAPIを利用したCMSでの多言語化サイト運用への適用事例』
早瀬 将一氏(シックス・アパート株式会社 製品企画マネジャー)
報告者●目次 由美子(XTM International Ltd.)

 


 

インバウンドシーンで実用化された機械翻訳+ポストエディットサービス事例:ジャパリンガル

 2014年以降、凸版印刷では翻訳システムの社会実装を中心に、以下のような活動を実施してきた。
 店舗ごとの需要に応じて個別展開されていた翻訳案件を擁する百貨店に対して翻訳の一元管理を提案し、用語統一によるブランド管理や過去訳流用によるコスト削減を実現したり、外国語でのやり取りが求められる地方自治体の窓口業務を支援するための音声翻訳システムの研究開発をNICTからの委託の下、複数の自治体にて展開している。また、音声翻訳システムを日本郵便の約2万局に導入し、外国人の訪問目的を確認するなどのコミュニケーションで活用したり、ベトナムで現地の技能実習生を対象とした講習センターや外国人労働者を受け入れる日本企業の工場などでも活用している。
 このような自動翻訳の社会実装の取り組みが評価され2018年に第13回長尾賞を受賞している。

 


 東京でオリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けて訪日外国人の増加は顕著であるも、訪日外国人の多くは言葉の壁に悩まされているという実情を否めない。外国人客を受け入れたい、受け入れる準備を進めたいという日本企業の多くは「翻訳」という業務の経験に乏しく、発注時の必要事項も把握できていない。そこに凸版印刷は「ワンストップで課題を解決する仕組み」の必要性を見出した。凸版印刷の翻訳者ネットワークと独自の翻訳プラットフォームをNTT東日本の機械翻訳エンジン技術と結合させ、インバウンド翻訳サービス「ジャパリンガル」としてサービス提供を展開している。
 ジャパリンガルではWeb上にて24時間365日、翻訳の発注と納品の受け取りが可能であり、NTT東日本の翻訳エンジンを活用して低価格・短納期・高品質を実現している。2千文字の翻訳は翌日に納品可能とのこと。機械翻訳を適用した後の事後編集作業にもオプションがあり、ネイティブチェックを含めた高品質の翻訳も提供している。
 ジャパリンガルの機械翻訳として採用しているNTT東日本の「ひかりクラウドcototoba」は、「訪日外国人観光客の”おもてなし”の実現」を目指したAI機械翻訳サービスであり、特に文化・観光の分野における強さを特長としている。具体的には、文化・芸術、観光・交通などの6ジャンル、28万語彙を含む日本の固有名詞を大量に学習している。また、固有名詞の抽出及び高品質なコーパスを作成する際にもNTTグループのAI技術(corevo)が活用されている。また、API提供する事で様々なパートナ企業様とのシステム連携も可能であるサービスである。

 


ジャパリンガルAPIを利用したCMSでの多言語化サイト運用への適用事例

 シックス・アパートではWebCMSで運用される多言語サイトにてジャパリンガルAPIを利用している。同社が提供しているWebサイト構築のためのCMSプラットフォーム「MovableType.net」(MT.net)では、HTMLなどの技術的な部分とコンテンツ管理が分離されているため、更新管理が実施しやすい仕組みが実現されている。日本語用ページや英語用ペ
ージなど、ボタンをクリックするだけで表示言語が切り替わる多言語のWebサイトは珍しくない。MT.netで管理されているコンテンツを、ジャパリンガル連携機能を活用して翻訳する一連の操作を早瀬氏は実演してくれた。

 


 従来の翻訳のフローでは、条件に見合う翻訳会社を探す1つめの手順から、打ち合わせやサンプル提供を経て、翻訳済みテキストをCMSに反映させて公開する8つめの手順にて完成に至っている。
 MT.netの管理画面では、コンテンツに対して[ジャパリンガルへ依頼]するための機能が搭載されており、翻訳の見積もりや依頼ができるだけではなく、納品された翻訳の受け取りや確認、オリジナルの記事への反映もできる。翻訳済みテキストを差し戻すような必要が発生しない限り、一連の翻訳はMT.net上で完結させることができる。