​人間翻訳者●矢能 千秋

2015/05/08

​人間翻訳者


 

編集委員 矢能 千秋

「人間翻訳者の仕事部屋」
コラムオーナー



人間翻訳者。私のハンドル名である。紙の印刷に堪える日本語、英語を目指している。志は高く。フリーランス翻訳者歴15年、一児の母である。在宅勤務の翻訳者なのだから、仕事と家庭を両立させたい、と思ってはいるが、実際にはかなり仕事優先で両立どころではない。日本翻訳ジャーナルの編集委員三年生である。先輩編集委員には、「もっと視野を広く」といわれるが、日本在住の在宅ママ翻訳者のリアルなケース1でもいいのではないだろうか、とも考えている。仕事と家庭の両立。働く母親の永遠の課題だが、在宅翻訳者なのだから両立させてみたい、という奮闘記に近い。人間翻訳者の仕事部屋で紹介する方々は、それぞれがサンプルケース。「仕事、人生をどのように両立されているのか、生きざまを拝見したい」と、毎回お話を伺っている。編集委員を引き受けさせてもらったとき、「私より先輩はたくさんいるのに」、と躊躇した。でも思いきってやらせてもらうことにしたのは、「子育て中のママ翻訳者の励みになるかも? それに、子育て以外でも介護など仕事と両立が必要なことはあるから、みんなに役立つことをシェアできるかもしれない」、と思ったからである。他の編集委員とは異なる視点から切り込みたい。自分の翻訳者としてのキャリアを考えたとき、在宅ではあるが子育てをしながら男性と同じ働き方は難しい、と感じた。先輩の話を聞いていたとき、「ロールモデルを求めているからダメなんじゃないの?」と言われたことがあった。確かに。SNSの発達で隣の青い芝生がよくみえるようになった。なら青い芝生をみせてもらおう。どうやって青くなったのか? 近づいてみてみたら、緑かもしれない。紙の印刷に堪える日本語、英語を書けるようになりたい。機械翻訳に負けない人間翻訳者。大丈夫。人間翻訳者は、機械には負けない。今年度も人間翻訳者の話を伺うのが楽しみである。人生が豊かになると、訳文も豊かになると信じている。すべては訳文の肥やしになる。大丈夫。みている人は、きっとみている。私がたどってきた15年が必ず参考になるかどうかは分からない。登場いただく方のケースも同様。でもきっと参考になると信じている。人間翻訳者の仕事部屋、今年度も皆さんと一緒に覗いてみたい。「翻訳の未来を語ろう」という特集タイトルだが、過去、現在をみることで自ずと未来はみえてくる。意思のあるところに、道あり。一緒に未来を築いていったらいいのではないだろうか。そもそも、なぜ翻訳者になったのか? 初心はどんなだったのだろう。自分はなぜ翻訳者になり、初心はなんだっただろうか? 翻訳の未来、一緒に考えてみようではないか。