機械翻訳の国家戦略 

2016/03/04

 

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催までに「言葉の壁」がない社会のショーケースを実現するという目標をかかげて、総務省は2014年4月11日に「グローバルコミュニケーション計画」を発表しました。総務省はその傘下に日本における音声翻訳および機械翻訳の研究をリードする情報通信研究機構(NICT)を擁しており、計画の発表から二年足らずのあいだにNICTの技術を利用した数多くの音声翻訳システムが市場に登場しています。

多言語音声翻訳は、まず音声を認識し、つぎに認識した原文を多言語に機械翻訳し、最後に翻訳済みの文を音声に変換する手順を踏むため、機械翻訳の性能向上が多言語音声翻訳の品質改善につながります。この計画を通じて性能が向上した機械翻訳技術が翻訳業界にも活かされることが予想されます。

この特集では、グローバルコミュニケーション計画の推進を担当する総務省情報通信国際戦略局の荻原直彦さん(技術政策課研究推進室長)へのインタビューと、同計画の研究開発リーダーであるNICTユニバーサルコミュニケーション研究所多言語翻訳研究室長の隅田英一郎さんの講演会報告を掲載しました。二つの記事を読むことで、日本が取り組んでいる機械翻訳の国家戦略が把握できます。

また、NTTコミュニケーション科学基礎研究所の須藤克仁さんには昨年秋にマイアミで開催された第15回機械翻訳サミットの参加報告を書きおろしていただきました。機械翻訳の研究者と翻訳者がともに参加して活発な意見交換が行われる機械翻訳サミットは翻訳業界にとって意義深いイベントであり、次回は来年(2017年)9月に名古屋で開催されることが決定しています。この記事をきっかけに、翻訳業界の方にも機械翻訳サミットのことを知っていただき、できれば来年、会場に足を運んでいただきたいと思います。(河野)