8. 機械翻訳を取り巻く国際標準化の動き:森口功造(株式会社川村インターナショナル)

2015/07/03

機械翻訳/ポストエディットに関連する国際標準化の動き
 

ISO TC 37について


 

<講演者>
川村インターナショナル 森口功造さん

 
 
川村インターナショナルは、国内のルールベース型翻訳エンジンと、海外の統計的機械翻訳エンジンの販売代理店である。森口さんは、ISOのポストエディットに関する委員会(TC37)の国内委員。
 
機械翻訳の改良には3つのチャンスがある:
(1)Controlled Language(制限言語)による改良(いわゆる前処理)
(2)機械翻訳エンジン自体の性能向上
(3)ポストエディットによる修正
 
(3)について国際標準化の動きがある。この概要について、この講演では取り上げる。
 
◎ISOについて
・加盟の形態:Pメンバー(投票権あり)とOメンバー(オブザーバー)が参加。日本はPメンバー。
 
◎TC37について
・(Pメンバー・Oメンバー合わせて)約60か国が加盟している。
・用語集の規格策定なども議論している。
 
◎SC5について
・TC37の5つのSCのうち、SC5が、翻訳および通訳を扱う。SC5には、以下の3つのワーキンググループ(WG)が存在。
 WG1.Translation(3つの規格について討論(一部発行ずみ))
 WG2.Interpreting
 WG3.Facilities and equipment for interpretation services
 
・WG1では、以下の3つの規格を取り扱っている。
  • ISO11669(発行ずみ)
  • ISO17100(近日発行予定)
③ISO18587(本講演の対象)
 
◎ISO17100について
 
・ベースになったのは、ヨーロッパ規格であるEN15038。欧州規格ということもあり、日本を含むアジアにはあまり普及しなかった(他に中身の用語不明瞭/用語の認識にずれなども原因か)。そのため、新たにISOとして議論しなおし、標準化を推進することが検討された。これがISO17100の発生の背景ではないかと推察。
 
・ISO17100の詳細については以下のサイトを参照
http://journal.jtf.jp/eventreport/id=149
 
 
◎ISO18587について
 

(森口氏のご講演内容より三宅作成)

 
◎ISO18587の対象範囲
・ISO17100を引用している。
・機械翻訳の出力結果を一部適用するのか、全部適用するのかに関わらず、ISO18587の対象とする。
 
一部とは・・・翻訳メモリ(TM)を活用してそのまま適用できるものは適用し、残りの部分に機械翻訳(MT)を使用する。そしてMTを使用した部分をポストエディットする。
・全部とは・・・TMは活用せず、MTとポストエディットで処理する。
 
 
・ポストエディットのレベル
 
Full post-editing(フルエディット)
Light post-editing(ライトエディット)
 
フルエディットは、人力の翻訳と同等のレベルに仕上げるポストエディットのこと。
両方が含まれると作業者の資格要件などを分ける必要が出てきてしまい、混乱の元なので、どちらか1つにするという議論が発生。→規格ではフルエディットのみを扱う。
 
ライトエディットについては、附属文書で示している。
 
・人間によるポストエディットのみを対象とする(マクロ処理などは含まない。Semi-automaticな操作も適用外)
 
◎用語について
 
ポストエディットとは、原文と(機械翻訳による)訳文をつきあわせて確認し、修正することを意味する。
 
◎機械翻訳を伴う翻訳のプロセス
・前処理→制作処理→後処理で構成されている。
・言語サービス企業(LSP)、翻訳サービス企業(TSP)が、MT+ポストエディットに向いている案件かどうかを判断する。
・前処理のプロセスについては、「TSP側の義務など」が定められている。
・制作処理のプロセスについては、「TSPによる内容確認」が含まれる。
 
◎ポストエディターの資格要件について
ISO17100に準拠するも日本には翻訳の学位がないという同様の問題が存在。翻訳者の資格要件からは緩和された状態で、議論が進行中。
 
★翻訳の学位を持っているか
★翻訳以外の学位(言語学、英文学等)+翻訳/ポストエディット経験二年
★ポストエディットまたは翻訳の経験5年
 
◎フルポストエディットの要件
要件の一例を抜粋して説明
 
◎最近の動き
現在はCDからDISへの投票が完了した段階にあり、今後FDISに進めてよいかという投票が行われる予定。DISとして発行でき次第、開示される。
 
◎その他トピック
 
・今年の6月に松江でISOの総会が開かれる。
・松江総会では、通訳関連の規格が主に議論される。
・認証機関については設置される方向。JTFセミナーでこれをテーマについて講演予定(5月19日(火))。