3-1 クラウドで安全な翻訳環境を構築し、 お客様の大事な翻訳データの遺漏を防ぐ

2014/01/10

杉浦 理紀

株式会社エイブス ドキュメント部 部長

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報告者●杉浦 理紀(株式会社エイブス)

 



翻訳業界でも自社内サーバーのクラウド化に興味を持つ会社が増えてきた。この講演では、エイブスがどのようにサーバーをクラウド化し、また、クラウド化したサーバーをベースに、近年増えている情報の漏洩を危惧するクライアントへも対応するシステムをどのように構築したかに触れた。

サーバーのクラウド化

クラウド化する前は、社内には7台の物理サーバーがあり、スチール製の棚に並べられていた。古い物は10年以上稼動しており、老朽化が進んでいる。また、東日本大震災の際には、棚から滑り落ちそうにもなった。このような状況から脱し、安心して翻訳業務を遂行するためにも、サーバーのクラウド化が急務であった。

集約と延命

クラウド化をするにあたり、サーバーをデータセンターに1台置き、物理サーバー7台分を仮想環境へ移行した。物理サーバー7台分を1台に集約することになったが、そのうち3台は延命処置が必要であった。これは、古くから使用している勤怠管理システムやライセンス管理などのアプリケーションが、最新のOS上では稼動できないためである。延命することにより、クラウド化する前と同じように社内のオペレーションをすることが可能になるが、サーバーの延命には、それなりの費用と時間がかかる。エイブスでは、最低限このままの状態で移行する必要があるサーバー3台(共有サーバー、TMサーバー、ライセンスサーバー)を延命した。

セキュアな翻訳環境

クラウド化したサーバーをベースにセキュアな翻訳環境を構築した。目的は、ソースクライアントから預かった翻訳物に関し、情報漏洩の危惧を無くすことにある。翻訳者とNDAを結ぶだけでなく、人為的リスクや自然災害からも守る、強固なシステムでの翻訳サービスを提供する。

翻訳者は自宅のマシンからSSL-VPNでエイブスのドメインへ接続した後、リモートデスクトップ機能を利用して、エイブス管理下にあるマシン上で翻訳作業を行うことになる。エイブス管理下のサーバーに格納されている作業ファイルを直接翻訳することになるため、メールやFTPなどで外部へのファイルの送付は不要となり、また、強固なユーザー権限設定により、リモートデスクトップ先のマシンからローカルのマシンへ、ファイルのコピーやダウンロードはできない。これにより、ハンドオフ後や翻訳完了後にも想定された情報漏洩の危惧は無くなると考える。

セキュアな環境を構築するためのキーワード

ハウジング(データセンターサービス)

ファイルは安全なデータセンターで管理

ソースクライアントが安心して翻訳会社に発注を検討できるように、セキュアなシステムを構築し、提案してきた。しかし一方で、強固なユーザー権限の設定により、翻訳者が自身で所有するアプリケーションを気軽に使用できないなどの障害もある。今後の課題として、翻訳会社と翻訳者が協力し、実作業者がより作業をしやすい環境へ改善する。


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