No.282 編集後記

2016/03/04

編集後記

 

 

「日本語の壁」にふたたび挑む機械翻訳



 

日本の機械翻訳研究は世界をリードする水準にありますが、日本でこのように機械翻訳の研究が盛んになるきっかけとなったのが1982年から1985年にかけて京都大学の長尾真教授(当時)をリーダーとして科学技術庁が取り組んだ「Muプロジェクト」でした。「京大、電総研(現産総研)、JICST(現JST)、工業技術院筑波情報計算センターの他、東芝、NEC、富士通、日立、沖電気が参加」(AAMTホームページより引用)して実用機械翻訳システムの研究開発が行なわれ、その成果は製品として市場にもでました。
それから32年の時を経て総務省が推進する「グローバルコミュニケーション計画」は、かつてのMuプロジェクトに匹敵するスケールで機械翻訳の実用化に新たな地平を開こうとしています。機械翻訳が利用される場面もMuプロジェクトの時代と較べてはるかに広範囲にわたり、この技術が時間をかけて実用化への長い階段を着実に歩んできたことを実感します。
機械翻訳技術の進歩は翻訳業界にとっては仕事のやりかたが大きく変わる契機となるものでもあります。今月号の特集記事で須藤克仁さんが書いておられるように、翻訳者と機械翻訳の開発者・研究者との協業は道半ばですが、両者が協力することが人間にとってより使いやすい機械翻訳の実現につながると思います。そしてそこで活躍するのは、機械翻訳を道具として使いこなす新しいタイプの通翻訳者になることでしょう。JTFジャーナルでは、そんな「次世代の通翻訳者」の新しい働き方、新しい生き方を、提言をふくめて追い求めていきたいと考えています。



Mar/Apr #282
校正協力:
豊田 麻友美
大谷 真由美
笠川 梢
花嶋 みのり
矢能 千秋

PDF版表紙撮影:
世良 武史

PDF版デザイン:
中村 ヒロユキ(Charlie's HOUSE)



 

次号予告

May/Jun #283
2016年5月発行予定

リニューアル第1弾
「翻訳の未来を考える」をテーマに新時代の翻訳者と翻訳会社の姿を問うJTFジャーナルは、次号からリニューアルします。ホームページとジャーナルを組み合わせることで読者の皆さんに「読んでよかった」と思っていただける、より付加価値の高いコンテンツの提供を目指します。新連載も多数スタートします。ご期待ください。