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5-2 ワードと秀丸を使い分けるハイブリッド翻訳のすすめー2つのエディタで翻訳効率をアップさせるー

2015/01/16

杉山 範雄 Sugiyama Norio

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名古屋大学大学院工学研究科結晶材料工学専攻科卒。工学博士。国内・外資系メーカーを経て特許事務所に勤務。2002年からフリーランスの特許翻訳者(英日/日英)に。著書に「あの手・この手の特許翻訳」(2011年)がある。「杉山特許翻訳」代表。

報告者:伊藤晃基

 



このセッションでは翻訳をする際にワードと秀丸エディタ(以下、秀丸)をうまく使い分ける方法、また杉山氏が自作されたマクロについて述べる。翻訳をするとき、多くの翻訳者がワードで作業する。理由は、クライアントから仕事を受注するときも納品するときも、ワードファイルで原稿の受け渡しが行われるのが一般的だからである。しかし、ワードでの翻訳作業は、作業中フリーズしたり、ファイルの開閉が重かったりなど不便なことが多い。そこで秀丸を利用する。

秀丸とはテキストエディタの一種で、テキストエディタとはワープロソフトからページレイアウトなどの機能を省いたソフトで、テキストファイルを作成、編集するためのものである。編集に必要な入力や置換などの機能だけを備えたシンプルなツールで、文字入力やファイルのオープン、クローズが軽くて速い。テキストエディタのなかでも秀丸はエディタ機能が豊富で、マクロ機能も充実しており、特にほかのソフトと関連づけて文字の取り込みや書き出しができる点が優れている。ちなみに秀丸は秀まるおのホームページ(hide.maruo.co.jp)にて4320円で入手できる。

秀丸での翻訳作業は以下のようにして行う。まず、対訳形式を用いることである。これは視線の動きの減少や、校正が容易だからである。次に上書き翻訳を用いることである。これは、用語集による一括置換ができ、訳抜けの激減、訳語の統一、タイプレスで労力を省くことができるからだ。これらの方法をとると、置換をかけるだけで文章の半分が訳語に変わり、作業効率が非常に良い。

次に、杉山氏の自作マクロを用いたハイブリッド翻訳の実演記録を述べていく。ワードファイルを秀丸にコピーすると、フォントの変化、下線などの書式情報の消去、ギリシャ文字の全角化、表の消去などかみ合っていない点がいくつか出てくるが、杉山氏自作のマクロではその欠点を補完している(Office2013を使用)。さらに一括置換も行えるようになっている。一括置換を可能にさせているソフトはFlashTermsで、このソフトは用語集を使ってテキストファイルに一括置換を行うためのものである。このソフトを使うと、100万個の用語ペアで10万字の文書に対して30秒で置換することができる(2015年販売予定)。この非常に速い置換ソフトに加えて、手作業による置換結果が自作マクロによって一番下に出るようになっており、置換された履歴を検索することが可能である。このように秀丸で作り上げた文書をワード上でスペルチェックしたり、文字数のカウントをしたりすることも可能である。また、ワードだけではなく、エクセルやパワーポイントのファイルを秀丸で編集し、再びエクセルやパワーポイントに戻すことも可能であるため、互換性が非常に高いといえる。

このように、ワードやエクセルと秀丸を用いたハイブリッド翻訳をすることで作業効率の向上、正確性の向上が見込まれる。また、杉山氏が今回紹介されたような画期的なマクロを公開するセミナー(東京ほんま会主催)が2015年に行われる予定である。