5-2 Lessons Learned from Translating Literature for Children and Young Adults

2016/01/15

平野 キャシー Cathy Hirano

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日英文芸翻訳家。Originally from Canada, Cathy Hirano came to Japan in 1978. After studying Japanese language for a year in Kyoto while teaching English, she majored in cultural anthropology at International Christian University in Tokyo. Upon graduating, she worked as an in-house translator for a Japanese engineering firm for 3 years preparing project reports in English. In 1987, she moved with her Japanese husband to Kagawa and has been working as a freelance translator ever since in a variety of fields. While raising two children, she began translating Japanese literature for children and young adults. Her translations of Nahoko Uehashi and Kazumi Yumoto's work have received several awards. In 2015, her translation of The Life-Changing Magic of Tidying Up by Marie Kondo topped the bestseller list in the US, the UK and Canada.

報告者: 小野温代(英日翻訳者)

 


1. Why Translate Children's/Young Adult Literature

児童書、ヤングアダルト向け出版翻訳は、多大な労力とリサーチ、両文化と言語に対する深い知識、多くの人の助けが必要となるにも関わらず、生活が成り立つほどの報酬、大きな名声が得られるわけではない。

それでもこの仕事を続けるのは、子どもたちが翻訳書を通して違う文化に触れ、違う視点を経験することによって、豊かな心を持つ人に育ってほしいから。実用書も同じ。生活文化がまったく異なる外国の本でも、日常生活に応用できるアイデアが見つかり、人生が変わることさえある。そのような、思いがけない出会いをつなぐ役目を果たせることに、翻訳者として無上の喜びを感じる。

2. Tips for Good Writing
① Capture the Voice - Not the words.

「ときめきますか」を辞書通りに英語に訳しても、相手に伝わらないか、奇妙な文になってしまう。対象読者がどんなときに、どんな風に「ときめく」のか、文中の状況に一番近いニュアンスの英語表現は何か。対象年齢層を中心に聞き取り調査をして、読者の心にすっと入っていく表現を決めていく(『人生がときめく片づけの魔法』近藤麻理恵(サンマーク出版)) 。

② Catching cultural assumptions

動物が擬人化され、「男の子」が活躍する児童書が多い。しかし、英語圏では、女の子が自分と重ね合わせられるキャラクターがないのは問題があり、配慮が必要という考え方が出てきている。この観点から、日本の作者に相談する必要が生じることもありうる。

③ Identify What You Need to Tell

日本では、顔見知りの年上の人を名前で呼ばず、「おばあさん、大家さん」などで通すことが多い。しかし、英語では名前で呼び掛けないと不自然な場面もある。このような場合も、作者に問い合わせて理由を説明し、原作には出てこなかった名前を確認する(『ポプラの秋』湯本香樹実)。

3. Collaboration

文芸翻訳は、翻訳者だけでなく、著者または日本語編集者、英語編集者、その他(家族、日英両文化をベースにする協力者)を含むチームで取り組むのが理想的。特に、翻訳者と編集者との信頼関係・連携が重要。

英語では、同じ言葉を繰り返さない、見てわかる説明は入れない、視点を統一する、結論を先に出すなど、「読みやすい文体の特徴」が日本語とは異なるため、日英の逐語訳にはなりえない。かつて、英語版の読者を想定して構成した訳が、日本語のliteral translationに戻されてしまったことがあるので、編集者宛ての詳しい”Translator’s Note”を書くようにしている。ときには編集者の判断で、(the Japanese is kuki-kan, literally, “feeling of the air”)のように、文中に注記が加えられることもある(『イラストでときめく片づけの魔法』近藤麻理恵(サンマーク出版))。

(This session was in English.)