2-4 第2部: ​MT Live ~機械翻訳の担うべき役割~

2016/01/15

パネリスト:

熊野 明 Kumano Akira

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東芝ソリューション(株)プラットフォームセンター。
1980年代から機械翻訳技術を研究開発。
2010年からThe翻訳シリーズの企画・製品化を担当。
アジア太平洋機械翻訳協会理事。

玉井 康裕 Tamai Yasuhiro

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(株)クロスランゲージ 専務取締役、JTF監事。
2009年、株式会社クロスランゲージ参画。(株)ワンソースジャパン取締役、
レンジャーシステムズ株式会社取締役、(株)JTBプランニングネットワーク顧問。

松永 務 Matsunaga Tsutomu

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(株)NTTデータ技術開発本部サービスイノベーションセンタAIソリューション推進室
統計的機械翻訳に関する技術開発・サービス開発に従事。
博士(工学)。

奥山 尚一 Okuyama Shoichi

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久遠特許事務所代表、弁理士。Ph.D。
1990年に弁理士登録、2011年~2013年日本弁理士会会長。
知的財産戦略本部有識者本部員、日本知的財産翻訳協会(NIPTA)副理事長。
エイバック特許翻訳上級コース講師。

疋田 正俊 Hikita Masatoshi

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(株)エイブス 技術翻訳スクール校長。
2000年1月よりエイブス技術翻訳スクールの設立に参加。
昭和60年度電気化学協会棚橋賞受賞。延辺大学(中国)非常勤講師。
(株)疋田翻訳事務所 社長。

遠田 和子 Enda Kazuko

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日英翻訳者、翻訳学校講師。
大手電機メーカーにて翻訳業務に就いた後、フリーランスになる。著書、訳書、多数。『通訳翻訳ジャーナル』(イカロス出版)にて「英訳ドリル」連載中。
『JTFジャーナル』編集委員として、同誌WordSmyth Caféコーナー担当。

モデレーター:

渡邊 麻呂 Watanabe Maro

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(株)十印 代表取締役社長、JTF理事
1999年、(株)十印開発入社。関連人材派遣会社にて営業職に従事。
2004年、(株)十印ヒューマンフロンティア代表取締役に就任。
2005年、(株)十印代表取締役に就任。

報告者:平岡薫(株式会社 エイブス)

 



渡邊:では、プロの立場から評価をお願いします。まずは特許から。

奥山:今年8月に特許になったApple社の出願で、クレームと明細書です。
 “Large public networks, such as the Internet, ”の文。NTTさんは語順通りで何が書いてあるかは大体わかる。東芝、クロスも含めて優劣が無い。統一して単語が使われていれば修正でき、下訳として使える。特許公報では特許庁はMTを使っている。化学やバイオでは相当使えるが、ITや情報通信では難しいか。機械分野はもっとたいへんか。WIPOにもMTが入っていて、Google、Microsoft、WIPOのβ版を選べる。

渡邊:東芝の癖、クロスの癖というのは無いのでしょうか。

奥山:トライアルではあったが、今回はそれほどではない。

渡邊:疋田先生にITの方を。

疋田:ITマニュアルを例文にした。NTTさん、全般に良くできていて正確だが、文章としてこなれていない。マニュアルとしての読み易さも重要。クロスランゲージさん、全体にできているがrepresentativeの訳は「代表」ではなく「技術員」のほうがマニュアルなので良い。東芝さん、ここではsolutionsを溶液とは訳さない。いくつかの単語の意味を入れておけば、3社の訳とも下訳に使える。今後はこういうエンジンをどう使いこなせるかが鍵。

渡邊:一般文書を遠田先生どうぞ。

遠田:MTは使えると皆さん言われるので、アウェイのピッチに立った気分でいる。
“The battery of my cell phone is running low.”
“My cell is running out of juice.”                                                      
上記2文は同じ「携帯の電池が切れそう」という意味だが後者はMTでは訳せていない。英語は多義性があり、文脈で意味が変化していく。
“Texting behind the wheel is as dangerous as driving under the influence.”と
“He sat behind the wheel and set off to drive back to Tokyo.”とでは“behind the wheel ”の訳し方が、「運転中」と「運転席」で異なる。他の例も含めて、文脈を考えた上での処理は人間が断然優位。

渡邊:質疑に入ります。30年後、テクノロジーが翻訳の世界を変えるでしょうか。

奥山:90年頃、特許翻訳が5年後に95%の確度になると言われたが、大きな変化は起きなかった。

渡邊:20年前に翻訳メモリが出た。ほとんどの方が使われています。単価も変わった。

遠田:MTで翻訳市場は広がるだろうが、コンピュータは自分で学習しないので、人間の知恵が必須でしょう。

疋田:MTの進化で日本語としての情報量が増えるのでは。米国の防衛やFDA資料等。日本語も短文化する指導が必要では。名文ほど短い。

渡邊:お客さんは訳したいものを山のように持っている。また、MTにかけることを前提に文章を書くようになってきている。