「JTFスタイルガイド」翻訳会社に採用

2012/11/09

「言葉」を扱う翻訳会社だからこそ
JTFスタイルガイドを柔軟に使いこなす

 

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楠山芙美さん(KUSUYAMA Fumi)
WIPジャパン株式会社
言語事業本部
品質管理部 クライアント担当
Executive Manager
 
WIPジャパン株式会社で、『JTF日本語標準スタイルガイド(翻訳用)』(以下「JTFスタイルガイド」)が社内標準スタイルガイドに採用されました。WIPジャパンは、世界210か国で多言語/情報サービスを提供する翻訳会社です。JTFスタイルガイド(http://www.jtf.jp/jp/style_guide/styleguide_top.html)とは、JTF標準スタイルガイド検討委員会が作成した、日本語の表記に一貫性を持たせるためのガイドラインです。
JTFスタイルガイドを採用した経緯について、WIPジャパン言語事業本部品質管理部の楠山芙美さんにお話しを伺いました。
 
---- JTFスタイルガイドを社内標準スタイルガイドとしてお使いいただき、ありがとうございます。具体的に、どのような形で導入されているのですか。

楠山  個人翻訳者に和訳の仕事を依頼するときに、「日本語の表記スタイルは、JTFスタイルガイドに従ってください」とお願いしています。お客様指定のスタイル ガイドがあれば、そちらを優先しますが、次に準拠するのはJTFスタイルガイドです。それから社内文書を、JTFスタイルガイドの表記ルールに従って作成 しています。社員が書く議事録や報告書はもちろん、メールの文章もそうです。

---- メールの文章も…ですか。

楠山 はい。まず新入社員研修の段階で、JTFスタイルガイドの表記スタイルを習得するように指導しています。スタイルガイドに従って文章を書くことは、社員の文章作成能力の向上につながると考えています。

---- どのような経緯でJTFスタイルガイドを採用することになったのですか。

楠山  以前は、自社独自の日本語スタイルガイドを使っていました。自社スタイルガイドを作成したのは2000年ごろで、以後何度か改訂しましたが、この数年は更 新できず、内容が古くなっていました。たとえば、カタカナ末尾の長音記号を省かない表記スタイル(注:「コンピュータ」ではなく「コンピューター」と表記 する)が主流になっているのに、そうした変化に対応できていませんでした。ちょうど自社スタイルガイドの見直しを始めたころにJTFスタイルガイドが公開 され、社内のチームで検討したところ、JTFスタイルガイドと自社スタイルガイドに共通する部分が多いことがわかりました。

---- 双方のスタイルガイドが似ていたということでしょうか。

楠山  はい。表記ルールについては、カタカナ末尾の長音記号の有無、中黒の扱い方に関するルールを除けば、ほとんど同じでした。詳細さという点では、自社スタイ ルガイドの方がJTFスタイルガイドよりも細かく規定している部分があり、それを簡素化したいと考えました。つまり、スタイルガイドを時代に合わせて刷新 し、簡素化して使いやすくすることを考えたときに、自社スタイルガイドをわざわざ作り直すのではなく、業界団体であるJTFのスタイルガイドを導入するの が得策だという結論に達したのです。将来的にも、スタイルガイドを維持して管理する手間を考えると、JTFスタイルガイド導入のメリットは大きいと判断し ました。

---- 実際に導入されて、変化がありましたか。

楠山  特に混乱することはありませんでした。以前から使っていた自社スタイルガイドと似ていたからでしょう。対外的にはお客様から、「スタイルガイドは何を使っ ていますか?」と質問されたときに、「JTFスタイルガイドを使っています」とお答えすると、お客様の信頼を得やすいようです。

----  翻訳業界では、日本語の表記スタイルが分野によって違うため、JTFスタイルガイドを作成するときに表記スタイルを1つに決定できなかった項目がありま した。たとえば「漢字とかなの使い分け」や「カタカナ複合語」がこれに該当します。実際に使っていただいて、不便に思われることはありませんか。

楠山  分野や要件に応じて、スタイルガイドを使い分けることは必要です。金融や法務の分野では漢字が多く使われますが、ひらがなやカタカナ表記を好む分野もあり ます。たしかにJTFスタイルガイドは表記の許容範囲が広いのですが、ユーザーの立場としては、それがかえってスタイルガイドを柔軟に使いこなせることに つながり、好都合だと感じています。お客様から表記スタイルの指定がある場合は、当然、それを最優先します。お客様から指定がない場合は、JTFスタイル ガイドをベースにして適切な表記を選択する、という使い方をしています。

---- JTFスタイルガイドを作成するにあたって理想としていたのが、まさにそのような活用方法でした。

楠山 ルールが柔軟であることが、かえってシンプルで効率の良いプロセスを生み出しています。また、社内文書の表記を統一することも重要だと考えています。翻訳業界は「言葉」を扱う業界ですから、社員自身が文章を正しく書くことも大切にしたいと考えています。

インタビュー担当:田中千鶴香(個人翻訳者、JTF理事および標準スタイルガイド委員長)